Abstract
講演要旨
[A] 「化学工場における(設計や保全に対する)材料技術者の役割」
旭化成 中原 正大
日本の化学工業のおかれている現状や幾つかの事例を元に、材料技術者が設計や保全の部門に対して、果たすべき役割について検討を加える。
・日本の化学工業の現状
・材料損傷事例
・今後の対応の方向
[B-1] 「化学プラントにおける保全業務と腐食問題との取組み」
三菱化学 宮澤 正純
化学プラントの設備の維持業務である保全は、世界的な経済競争による新規設備投資の海外移転により、長期間にわたる設備使用から来る設計時には予期しなかった設備劣化の進展、また規制緩和による設備の長期連続運転の要求、さらには社会的要求による保安環境問題の未然防止等と非常に厳しい環境にある。このような状況において行なわれている化学プラントの保全を、その特徴も含め業務の内容を紹介する。また設備管理手法として最近注目されているRBM(Risk Based Maintenance)と現状の設備管理との関係も説明する。
さらに、化学プラントの設備劣化の代表的な劣化現象である腐食問題について、設計段階から保全までの業務の流れと、そこに生じる課題を事例により紹介する。これらの課題に対してどのように取組んでいるか報告する。
[B-2] O&M(Operation & Maintenance)の視点からみた材料(防食)設計の役割」
東洋エンジニアリング 長島 英紀
プラントエンジニアリング業界においてもO&Mの重要性が取り上げられて久しい。一方で、激しさを増す受注競争は、O&Mを考慮した設計をなかなか許さない状況にあるのも事実である。そして、これが中長期運転後のプラントの腐食トラブルを生む一因にもなっている。このような現状を踏まえ、材料(防食)設計のポイントとは何か、また、それらを目に見える形で価値に繋げるためにはどのようなアプローチが求められるかについて参加者と共に論じたい。
[C-1] 「調質圧延液の耐腐食性」
出光興産 長瀬 直樹
調質圧延は冷間圧延後、酸洗焼鈍したあとに微少の圧下率で圧延するもので、板厚を薄くするための圧延というより、冷延鋼板の形状制御、機械特性付与(降伏点伸びの消去)、光沢の調整、粗さ付与などの目的で行われている。
調質圧延には調質圧延液が用いられ、調質圧延直後にさび止め油が塗布される場合と、調質圧延後、調質圧延液のみ付着した状態で工場内に10日間程度保管される場合とがある。
そのため調質圧延液には、タンクおよび供給装置に対する耐食性(主に低炭素鋼)、と鋼板に対する屋内開放状態10日間のさび止め性が必要である。
ボルトナットを各種調質圧延液に浸漬し、さびが発生するまでの径時変化および隙間腐食再不動態化電位を測定し、また鋼板の屋内曝露試験を行ったので、その結果を報告する。
以上
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