腐食環境における材料の使用実績データのうち,「重大な」とはみなされない損傷事例,あるいは「うまく使えた」という経験,すなわちいわゆる「○(まる)データ」,は,貴重な経験であるにもかかわらず講演会,討論会等の発表には含まれ難いために,共有財産として蓄積され難い現状にあります.
これらの経験/データの共有を探索する目的で「装置材料のパフォーマンス研究会/分科会」(初代主査:辻川茂男/東大工,2代目主査:棚木敏幸/東京都)が1984年6月に新設され,1993年までの10年間,腐食防食協会の研究専門委員会に所属して,活動が続けられてきました.約25名のメンバーが腐食環境における各種材料の使用経験/データを持ち寄り,メンバー相互の自由な意見交換を通して材料のパフォーマンスの実態を明らかにする活動を続け,ここでの討論の一部は腐食防食協会の機関誌(防食技術/材料と環境)に投稿・掲載されてきました.
このような継続的な性格は,「特定のテーマを,原則として2年でこなす」という研究委員会傘下の分科会/研究会の性格には必ずしも馴染まないため,1994年から腐食センター内の常設研究会として再発足し,引き続き棚木主査のもとに活動してきました.
1998年からは3代目の酒井潤一主査/早稲田大学のもとに,装いも新たに再出発しました.新たにメンバー登録をお願いしましたところ,ベテランから初学者までの広い範囲から100名近い登録をいただいています.メンバーの新規登録は常時受け付けています.
研究会は年数回開催され,会後に必ず開かれる「技術交流会」を含めて,メンバー間のギブアンドテイクによる相互教育が基本概念です.また,テーマによっては「confidential」を守るというエチケットが要求されます.