Abstract
平成20年度 第1回材料のパフォーマンス研究会 講演者と概要
[A]「通信設備における最近の材料環境学的課題」
東日本電信電話(株) 半田 隆夫
比較的マイルドな環境に設置されていると考えられる通信設備であるが、環境脆化による設備故障が散見される。通信の途絶は許されないため、対処療法的に解決せざるを得ないが、本質的解決には更なる学究的検討が必要と考える。
今回、以下の3事例について紹介し、専門的見地からの議論をお願いしたい。
・プレストレストコンクリートポールにおける鉄筋の遅れ破壊
・光ファイバ心線の脆化
・低強度鋼(60kgf
級)における脆性破壊
[不働態に関する懇話会]
1.「不働態(岡本剛先生)と私―東京理科大学で議論していたこと―」
栗田工業(株) 高崎 新一
酸性河川水ポンプの電気防食や化学プラントの腐食事故など実際の腐食問題に関連して始められた北海道大学での腐食研究は不働態の研究へ展開し,佐藤教男先生を中心として今日まで継続されてきた。この間に関わった研究者の不働態に関する問題意識は必ずしも同一ではないという印象である。あえて断定的に述べれば,たとえば,研究を始められた岡本剛先生は不働態現象それ自体に大変興味をお持ちであり,永山政一先生は不働態皮膜の構造に関心を寄せておられた。また,佐藤先生はご存知のように不働態の機構解明に注力され,半導体理論の構築に貢献されました。岡本先生は北大退職後に理科大学に移られて,北大とは別の視点から不働態の研究に取り組まれた。ここでは,理科大学において行われた不働態の研究とその際に議論していたことなどを紹介する。
2.「私の研究と不動態(続き)」
東京大学名誉教授 辻川 茂男
塩化物による応力腐食割れCl- SCCは永らく“film rupture theory”によって説明されてきた。この説がもっぱら依拠した「沸騰塩マグ」のような高濃度Cl- 水溶液から数10ppm
Cl- という低濃度水溶液までのCl- SCCの割れ条件、たとえば割れ電位域などにおいて、実験結果と同説との異(同)を概説する。
以上
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