Abstract
平成22年 第4回材料のパフォーマンス研究会 講演者と概要
[A講演] 「Good-bye “Materials Failure” on Austenitic Stainless Steels
-プラントのフェライト化-」
早稲田大学 各務記念材料技術研究所 山本 勝美
オーステナイト系ステンレス鋼は、その使い易さ(加工性、溶接性、低温から高温までの優れた機械的特性、など)から多くの構造体の構成材料として多用されている。その反面、応力腐食割れやすきま腐食など、発生時期や発生場所を特定し難い事象が起き易い材料でもある。
筆者は43年以上エンジニアリング企業の材料部門に籍を置き、各種材料の腐食事例解明やその対策立案に係わってきた。企業分野として石油関連プラントでの構成材料に例をとると、適用量としては精々数%であるオーステナイト系ステンレス鋼が腐食事例としてはその30 ~ 40%近くを占めているとの報告もあり、如何にオーステナイト系ステンレス鋼の腐食事例を削減することがこの分野に籍を置く材料技術者としての大きな目標でもあった。
本講演では、応力腐食割れ対策としての444鋼、天然ガス分野でのフェライト系ステンレス鋼、エチレン分解炉管へのFe-Cr系MA合金適用、の3例を通して“プラントのフェライト化”について概説する。
[B講演] 「 化学プラントにおける材料検討チームの位置付け
(材料検討チームの役割とは)」
三菱化学(株) 宮澤 正純
化学プラントは多種多様な物質を取り扱っており、さらに化学反応を伴うため設備の使用環境は苛酷になっている。このため化学プラントでは設備の損傷事例も発生因子を含めて多様化している。
このような化学プラントにおける材料検討チームがどのような役割を果たしているかを説明するとともに発生する課題への取り組みを、事例を交えて紹介する。最後に材料検討チームの今後の展望について述べる。
[B講演] 「 ニッケル基合金の時効脆化」
三菱化工機(株) 花田 浩一
ニッケル基の合金であるハステロイ系の合金は、高耐食性材料として化学装置、産業機械に一般的に使用されている。しかし、圧力容器での使用に関しては、使用温度の上限が設けられており、JIS B 8265(圧力容器の構造-一般事項)の許容応力表では675℃までとなっている。ハステロイ系の合金は、650℃から1100℃に晒されるとMo富化析出物のP相並びにμ相が析出し、耐食性、機械的性質が低下することが知られており、そのための上限と考えられる。
本講演は、上限以下の温度、600℃で使用したが、著しい伸びと衝撃値の低下した事例を紹介する。
以上
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